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音盤&DVD Archive
A.Févin: Requiem d'Anne de Bretagne/ Zig-Zag Territoires ZZT110501
- 04-05-2013 (土)
- 音盤&DVD
獨立を保ってゐたブルターニュ公國の實質上最後の主にして、時のフランス國王二代の妃となったアンヌ・ド・ブルターニュの葬儀の音樂。
先王の死に乘じたフランスの侵攻により、後の神聖ローマ皇帝との婚約を破棄させられ、十一歳にしてフランス國王シャルル八世の妃となったアンヌ。やがて王が急逝するや、次のルイ十二世が先妻との離婚をへて彼女と結婚。數子をまうける。
西暦千五百十四年一月九日、ブロワ城にて死去。三十七歳。
なきがらはパリを經てフランス王家の墓所サン・ドニに埋葬されたが、心臟は取り出され、遺志にしたがってブルターニュ公國の首都ナントにある父と母の遺骸の間に安置された。
わが肉體はフランスにあっても、心は故國に。
政略結婚に翻弄された女公の生涯に想像を至すと、この柔和に流れる音樂のなんと切切たることか。
息の長い活動をつづけてゐるドゥース・メモワール出色の一枚。おすすめ。
•A.Févin: Requiem d'Anne de Bretagne/ Zig-Zag Territoires ZZT110501
撥弦樂器特有の、心の中のなにものかを靜かに刺激する發音。優秀録音により、煉絹のやうな空氣感に浸ることのできる癒樂。
テオルボと作曲者が考案したといふテオルビーノ(小さいテオルボ)とのつれびきは、サウンドが一挙に豊潤なものとなる。さらにマルコ・ビズリーの聲が加はって、目をつむれば居ながらにして十七世紀初頭イタリア貴族のサロン。
•『戀ゆえに傷ついて』ベッレフォンテ・カスタルディ、鮮やかなテオルボ藝術の世界/ ARCANA MER-A368
Combattimenti!/ Alpha Alpha172
- 17-04-2013 (水)
- 音盤&DVD
Claudio Monteverdi: Hor ch'l Ciel e Terra
Claudio Monteverdi: Lamento della Ninfa
Claudio Monteverdi: Combattimento di Tancredi e Clorinda
Giovanni Maria Trabaci: Consonanze Stravaganti
Marco Marazzoli: La Fiera di Farfa
音樂のルネサンスが爛熟の果てに生み出したもの。バロック。
もはやそれ以上發展することのできないルネサンスの均衡は、異形の不協和音と構成を取り込むことで、必然的にバロックへと脱皮を遂げた。
その過程の一切を生きたモンテヴェルディ。マドリガーレ曲集第八巻は、不均衡なるものに音樂表現の高みを具現した傑作として夙に知られてゐる。
數多の録音がある中で、敢へてこの音盤を世に問ふその意味は解説に詳しい。
なにしろヴェネツィアにおける最初期のバロックが選り拔きの演奏者とこの上なく洗煉された感覺で體驗できるのだが、心憎いのは、同時代のローマさらに南イタリアのどこか切ない音響世界につながる構成。
いつもながら、極めて少い音符でつづられた平面から立版古のやうに立体的なサウンドを構成するヴァンサン・デュメストルの考證力、そして音樂的センスは一頭地を拔いて他の追隨を許さない。
The Brandenburg Concertos/ ACCENT ACC24224
- 02-03-2013 (土)
- 音盤&DVD
まさに中庸の極み。
來日公演が良かったのでとりあへず的な購入でしたが、録音も良い。
この曲集の六つ全部を演奏するとすると、パートは十九。人數では十三人。それが最低限の人數です。
今ではいくらも演奏家を揃へられるので、潤澤なサウンドで聽く者を壓倒する録音がいくつもあります。しかし當時はさうではない。いかに大貴族といへど、大人數の演奏者を抱へる余裕はありません。この録音にはそんな背景もあります。
で、いつもパート一名の録音を行ってゐるS.Kuijken。今はあまりやる人はゐませんが、一時期のやたら快速な進行とは全く逆です。かといって遅いわけでもない、その絶妙なテンポが實に實に心地良い。樂譜からしみ出るエキスに滋養がたっぷりなのです。
萬人ウケはしないでせう。でも、たとへば第二番のアレグロで思はずカラダが動いてしまひ、そしてその癒樂に思はず涙腺がゆるみさうになります。
•J.S.Bach: The Brandenburg Concertos/ ACC24224
concertos pour clavecin bwv1052, 1053, 1055, 1056/ Cypres CYP1661
- 12-12-2012 (水)
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協奏曲は競奏曲ではない。さう言つて威張る人もこの演奏には舌を巻くのではなからうか。一昔前は大合奏對鍵盤といふ編成が定番であつた。しかしBachの手稿譜を見れば、Concerto à Cembalo concertato, due Violini, Viola e Cont.とあり、つまり弦樂器は四丁なのだ。それもそのはず。これらの曲は、作曲家が指導してゐた(必ずしも上手とは言へない)學生たちと、いつもの珈琲店で演奏するためのものだつたのだから。
と、そんなところから説き起こすことは今や簡單にできてしまふご時世だが、その上でさらに俊英Béatrice Martin孃の指さばきはどうだらう。輕快な推進力、時に花火のやうに放たれる装飾音。そして彼女とともに實に心地よいノリを作る、氣心の知れたLes Folies françoise。
次の演奏家はこの地點から始めなければならない。愛好者にとつて嬉しい時代になつたものだ。
Suites des Pieces pour Clavecin /RAMÉE RAM1004
- 24-11-2012 (土)
- 音盤&DVD
力強いオラトリオ、美麗な旋律の續くオペラ。ヘンデルの作風は「陽」の成分が多い。それは確かだ。
その人柄は、大食漢の大男で、立居振舞ひは粗野、無愛想だがユウモアを好んだ、と人は言ふ。妻帯せず子もなく、助手はドイツ時代の友人とその息子。名士の噂話が何より好きなロンドン人の中にあつて、その私生活は完全に謎につつまれてゐる。ヘンデルとはいかなる人物だつたのか。
耳をこらせば、そんな作曲家の「かげ」がかすかに感じられないだらうか。選ばれたのはすべて短調。ブラジルの才人Cristiano Holtzが繰り出すヘンデルは、ドイツ・フランス・イタリアそしてイギリスの音樂が渾然一體となつた獨特の世界。
精緻な録音と相俟つて、汲めども盡きぬ興が湧き出て來る秀盤だ。
十月の雨金木犀の香かすかなり 魁童
- 05-10-2011 (水)
- 音盤&DVD
ヘタな句。
實景なのでこのままで。
知らずに聽くとバロツク末期のなにか、と思つてしまひさうですが、ハイドン。
Figueiredoは南歐ものが良いかといへばそればかりではない。
樂器の美音と心にしつくり添ふたゆたふ間の妙。
『Joseph HAYDN SONATAS』passacaille/955
ずいぶん前にはルネサンスの多聲音樂にどつぷり頭までつかつてゐたのですが、バロツクにシフトしてからはめつきりでした。パレストリイナなんてマンネリの極、と跨いで来たところにやうやくこれです。小生が推す數少ない團體のひとつODHECATONの最新録音。
對抗宗教改革の雛型であるべきはずのこの曲の、なんといふボカシsfumato具合。男性約二十名、六聲(時に七聲)の大規模なミサ曲。最上聲は歌ふことをせず、下聲部の倍音に響きをのせるのみといつた風情。純正調の終止のカタルシス。
囓み應へ十分の解説とともに何度も味聽すべき盤でせう。
『PALESTRINA MISSA PAPAE MARCELLI』ARCANA/A358
實景なのでこのままで。
知らずに聽くとバロツク末期のなにか、と思つてしまひさうですが、ハイドン。
Figueiredoは南歐ものが良いかといへばそればかりではない。
樂器の美音と心にしつくり添ふたゆたふ間の妙。
『Joseph HAYDN SONATAS』passacaille/955
ずいぶん前にはルネサンスの多聲音樂にどつぷり頭までつかつてゐたのですが、バロツクにシフトしてからはめつきりでした。パレストリイナなんてマンネリの極、と跨いで来たところにやうやくこれです。小生が推す數少ない團體のひとつODHECATONの最新録音。
對抗宗教改革の雛型であるべきはずのこの曲の、なんといふボカシsfumato具合。男性約二十名、六聲(時に七聲)の大規模なミサ曲。最上聲は歌ふことをせず、下聲部の倍音に響きをのせるのみといつた風情。純正調の終止のカタルシス。
囓み應へ十分の解説とともに何度も味聽すべき盤でせう。
『PALESTRINA MISSA PAPAE MARCELLI』ARCANA/A358
百十一
- 16-09-2011 (金)
- 音盤&DVD
アラビヤ數字では「111」のゾロ目です。特に意味はないですね。
未聽の音盤を勘定してみたらこんな枚數になつてゐました。
たしかひと月前にはゼロだつたはず。
かういふ發作的購買はよくない。
でも反省しない。
なかなかおもしろい盤です。古典派が始まつてゐる時代。そんなあはいの作品も興味深いのですが、ここはひと工夫。Cristoforiのフオルテピアノと、同じくチエンバロで聽いてみませうといふ企画。L.Guglielmiの正しいタツチから生み出される音の妙。
『Platti•The Late Keyboard Sonatas』ACCENT/ACC24228
モツレク。
そんなにすばらしい作品なの?
とかねがね思つてゐましたが、やはりさうでした。
しかしこの音盤は、企畫および巧みな演奏によつて、思わず耳をそばだてるものにしてしまひました。
カタカタを音を立てて軌道を登攀していくジエツトコオスタア。頂上の見晴しに困惑すると同時に一氣に谷底へ落ちてゆく速度。
無から始まる入祭唱。いわくありげなキリエのフウガが切れると同時に怒濤のセクエンツイアに叩き込まれる快感。
それです。
凡作であつても演奏によって素敵な時間を提供することができる、といふ好例です。
『モーツアルトのレクィエム』Alpha/Alpha178
未聽の音盤を勘定してみたらこんな枚數になつてゐました。
たしかひと月前にはゼロだつたはず。
かういふ發作的購買はよくない。
でも反省しない。
なかなかおもしろい盤です。古典派が始まつてゐる時代。そんなあはいの作品も興味深いのですが、ここはひと工夫。Cristoforiのフオルテピアノと、同じくチエンバロで聽いてみませうといふ企画。L.Guglielmiの正しいタツチから生み出される音の妙。
『Platti•The Late Keyboard Sonatas』ACCENT/ACC24228
モツレク。
そんなにすばらしい作品なの?
とかねがね思つてゐましたが、やはりさうでした。
しかしこの音盤は、企畫および巧みな演奏によつて、思わず耳をそばだてるものにしてしまひました。
カタカタを音を立てて軌道を登攀していくジエツトコオスタア。頂上の見晴しに困惑すると同時に一氣に谷底へ落ちてゆく速度。
無から始まる入祭唱。いわくありげなキリエのフウガが切れると同時に怒濤のセクエンツイアに叩き込まれる快感。
それです。
凡作であつても演奏によって素敵な時間を提供することができる、といふ好例です。
『モーツアルトのレクィエム』Alpha/Alpha178
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